石川県教育振興会は金沢教育振興会と共催し、「21世紀の教育を考えるシンポジウム」を開催し、学校・家庭・地域の教育を支える応援団として、次のようなテーマを設定し「参加者の意見・考え」をまとめ、子育てに役立ててほしいと願って、公開します。
令和6年度 「2024年 21世の教育を考えるシンポジウム」の概要
橋本 文教会館館長の橋本と申します。有意義な会になりますようにご協力をよろしくお願いします。本日は、皆さんにご意見を頂きたいので、グループ討論としました。活発な討議を期待しております。本日のパネリストを紹介します。
まず、金沢市PTA協議会、馳部裕之副会長です。
そして、金沢市子ども会連合会育成委員会、越野和宏委員長です。
それから、金沢市立長坂台小学校、後藤梢太教諭です。よろしくお願いします。
本日の趣旨説明をします。本来、人と人が繋がって信頼関係を作りながら、お互いが気持ちよく生活できる社会をめざすべきですが、現実には、学校や社会でのいじめ・不登校、鬱や自殺者の増加、ハラスメント等の問題がよくニュース等に出ています。こうした現状で、学校・家庭・社会で何が欠けているのか。何が育っていないのかと思われることがあると考えています。今日は、まずは、パネラーに各々の立場から今の現状問題点等をお話して頂き、グループで話し合った内容を発表して深めていきたいと思います。次に、パネラーから課題への対応のお話を頂き、再度、グループ討議をして発表して頂き、最後にまとまったお話になり、持ち帰って頂けるものが沢山あればと考えています。ご協力をお願いします。パネラーからお願いします。
◇分かり合い・認め合う感性の実態や現状
馳部 金沢市PTA協議会副会長の馳部と申します。PTAに携わって2年目で、皆さん程携わっていないので少し離れた立場でお話します。役割が多くて大変だ。お金を盗って辞めた人がいる等、悪いことは大きく報道され広がり、PTAは必要かという風潮が世の中にある。風潮を作るのは、世間で子どもを取り巻く大人がそういう思いになり、活動が段々減っている。昔は、家庭・学校・地域で子どもを育てていたが、PTAがやらないとなると、子どもが親以外の大人と関わることが少なくなり、地域のコミュニティも薄くなる現状です。情報を自分の目でしっかり見て、評価として行動に移せる大人が段々減り、PTAの活動もうまくいっていない。親も忙しいと、子どもや地域に関わることに凄く無関心です。お互いを分かり合う認め合う感性を育むことができていないという課題があると思います。
越野 金沢市子ども会連合会育成委員会委員長として参加しました。普段は、泉野小学校校下少年連盟育成委員会委員長として、子ども会活動をしています。金沢市内40いくつの少年連盟に色々な事情を抱えた少年連盟があると思うけど、泉野校下はそこまで課題はありません。活動の参加者は、回覧で募集をかけます。行事は、子どもが1人でも参加すれば必ずするので、子どもが楽しむというより、大人自身も楽しむ内容を考えています。夏休みのラジオ体操や始まりの鐘の騒音の苦情もある現状です。子ども会は地域の活動なので、地域住民に理解して貰おうと思うけど、色々な生活パターンがあり一度に理解を求めるのは難しい。でも活動が出来なくなったことはないので、出来る限り活動を続け地域住民に周知は続けていかなくてはいけないと思います。
後藤 長坂台小学校教諭の後藤です。教員をして10年目で、5月から育児休業を一年間取っています。家庭でのコミュニケーションや学校現場の子どもたちの現状で自分自身が感じたことをお話します。育児休業で家庭にいて、知らない面や出来事があり、コミュニケーションは取れていないと分かりました。家庭でも学校でも、ICTの発達によって時間が短縮されて便利になっているのに、1日の生活時間に余裕がなく、人とゆっくり話す時間が足りていない。学校の子どもは、10年前と変わらず素直で元気で明るくて少しでも成長したいと思って一生懸命頑張る子が多いですが、子どもたちの関わりは、認め合う観点は育めています。45分間の授業でどれだけ多くの人と話が出来ているか、1人の意見について語り合うことが出来るかはなかなか時間が取れていないと感じています。
橋本 それでは、今から10分間。各グループでそれぞれの立場から今の現状等をお話頂いて、グループ発表をして頂くことになります。
(グループ討議① 10分間)
橋本 では、出た意見を5班からお願いします。
5班 育むことは出来ているかはなかなか難しい。お互いを分かり合う認め合うの『合う』は、出来ていない現状です。特に、コロナが始まって2ヶ月は、人と付き合ってはいけないとか送別会無し歓迎会無し運動会後の会無しで、今の若い人たちは人と関わらない権利があるようになった。私たち古い時代の人間は、行ってもつまらないだろうなと思って行った所に新しい出会いや新しい楽しさがあったりした。それは、自分とちょっと違う人達と関わっているからだ。その関わらない権利がコロナ以降蔓延しているようで、昔と違うと思う。
4班 何をするにも一生懸命やればやるほど時間がない。最終的に子どもの心の育成が後回しになってしまう。PTA活動で協働や人間関係の大切さに気づいたという意見や能登のボランティア活動で分担し協働で成し遂げることが心を育てるという意見、iPadの使用は心が育たないという意見もあった。昔は、夏休み冬休みに子どもにも先生にも自分を成長させるゆとりの時間があった。使い方に主体性を持つことが非常に大事。
3班 金沢市の子ども会は64団体。活動が活発な団体もあるが、参加者が少なく親御さんの関心が低い団体も結構あり育成委員の引き受け手がない所もある。自分は参加した子どもが笑顔で帰れば、親御さんの理解に繋がると思っています。ラジオ体操も、今はお盆前や2週間で終わる所もある。お世話する人の負担もあるが、子どもに豊かな体験や活動をさせることも大事だと思う。
2班 子どもが分かり合い共感する時、ICTは阻害する要因にならないのか。一般には、学校ではずっとICTを使っているイメージがある。実際は、学校では文房具のツールとして使い、入り込まないようにしている。ICTは他の子の意見がパッと見て分かるという利点もあるので、使い方を考えていかなくてはいけない。顔を合わせて話をすると色々な思いが伝わり、ズームだとなかなか伝わらない。対面して言葉を伝え合うことが大事だと話し合った。
1班 学校だよりを町会に分けていたが、プライバシーや不審者対応で配布しなくなってきた。また、子どもの世界が狭くなり、色々な人がいることを知る機会が減っているのではないか。自分の情報だけで活動することが多いのではないか。大人がもっと関わりを大事にするようなメッセージを頑張って発信していかなくてはいけないと、意見が出された。
◇分かり合い・認め合う感性の育成に心が掛けること
橋本 パネラーからどんなことを心掛け、どうすればよいか。どんなことができるかを話して頂きます。
越野 子ども会活動は、真新しいことをやっているのではない。長く活動を続けていくために地域の方に、理解を求めるのが最善の方法です。苦情は聞いて改善できる所はしています。世話する側も、年齢を重ねていくので、次の世話する大人をどうやって作っていくかもしっかり考えていかなくてはいけない。自分は、子ども会活動で育てて頂いたので、地域で恩返ししたいと活動しています。子どもが興味のあることを見てアクションしないと進まない。対面での会話は必要なのでそれを心掛けていきたい。
後藤 子どもの世界が狭くなっているというが、子ども自身は広くなっていると感じているのではないでしょうか。オンラインゲームで世界中の人と繋がれるようになり、ラインやツイッターで、気軽に連絡を取り合うことができるため、色々な人と繋がっていると思っているが、実際はその繋がりは弱く、限られた人としか本当の意味で繋がっていない。繋がりを増やすため、対話の量を増やしたい。誰一人見捨てることなく、共通のゴール(課題)に向かって、子ども同士が自由に対話しながら解決していけるような授業を組み立てていくことで認め合う感性も育むことができると思います。
馳部 リアルとデジタルで子どもが使い分けながら人と付き合っているけど、正しく使えるように教えるのも親であり学校とか大人です。PTA活動に逆風があるので、理解者や協力者を増やすことは重要。今まで、紙媒体の広報誌だったけど動画やウエブの少ない労力で効果的な広報が出来れば、より多くの理解者協力者が増え、子どもと地域と学校が協力して支え合えるような組織作りが出来ると思います。
橋本 今から10分間。各グループで解決策を提案して頂きたいと思います。よろしくお願いします。
(グループ討議② 10分間)
橋本 それでは、1班からお願いします。
1班 このテーマを解決するのは、なかなか難しい。それぞれの立場で大切だと思うことを発信し訴えることが必要です。今、部活動の地域移行が問題になっている。働き方改革で理解は出来るが、部活動で救われている子はどうなるのか。全てが勉強を好きではなく部活動を楽しみに学校へ来る子も多い。外部の指導だと競技力は向上し、強い子がいい目に合う。得意ではないが好きという子はどうなるのか。学校では、弱い子も補欠も大切に育ててきた。学生時代は補欠でも、年を重ねて生涯スポーツとして楽しんでいる方も沢山いる。部活動は人間形成、生涯スポーツという観点でとても大きな意味があるが、失われるとなるとどうなるのかと心配。
2班 リアルとデジタルの使い分けで、デジタルだけに偏ると大変危険。辞書を引くのも大変少なくなり、端末で検索すると自分の調べたいことの範囲だけになる。辞書はその前後があって、それが知識となる。学校で新聞を持っておいでと言ったら、新聞をとっていない子が沢山いた。若い先生も新聞をとっていない。新聞も自分が読みたい記事だけでなくて、その周辺の記事も目にするから色々なことも知られる。ネットニュースは、自分の知りたいことだけで偏った考えになっていくと危惧。
3班 分かり合う認め合う感性を育てる基本は、挨拶ではないか。見守り隊がおはようと声掛けしても、子どもたちは挨拶を返さず下を向いてとぼとぼと歩いて行く姿を見ると大丈夫かなと思う。家庭で、子どもが親におはようとか、親からおはようとか声を掛けていないのか。それで、家から一歩外へ出ても挨拶しないのが当たり前の子どもたちがいるのか。挨拶は、人と人が認め合う1番基本中の基本だと思う。もっと大事にしていく必要があると思う。
4班 大人が背中を見せていく。大人がやらずして子どもが出来るはずがない。協働作業を通して対面活動を経験させ感性を磨いていく。我が子も周りの子も含めてじっくりと話を聞いてあげる。話を本当に聞くことが出来るかどうかが大切だと思う。
5班 孫と散歩すると、今まで挨拶をしなかった人とも会話が弾む。今まで話せなかった人とも明るい会話や笑顔が広がり、立ち話をするだけで色々な人と繋がれる。授業や子ども会、PTA活動でも同じゴールをめざす楽しい活動で、子どもも大人も役を担わせれば会話が弾む。みんなでゴールに向かって体を動かしお互いに役割を果たす。挨拶が広まっていくと、分かり合い認め合うことが広がると思う。
◇パネラー からの意見・感想
橋本 グループ討議を受けて、パネラーの皆さんにもう一言ずつお話をして頂きます。
後藤 本日は有難うございました。仕事を言い訳に、家族の話を聞いているふりをしていたと分かり、まずは、忙しい中でも意識してゆっくり話を聞く時間をつくる。そうして、家庭をまず幸せにすることが第一歩だと思います。聞くのは難しいけど、じっくり聞いて充実した日々を過ごしていきたい。
馳部 本日は有難うございました。皆さんの話からシンプルで当たり前のことが大事で、人として大事なことを大人がちゃんと子どもに伝えていくことが必要です。PTAでできることは少ないけど、親御さんに伝わる広報の仕方やしかけをしていきたい。
越野 本日は有難うございました。10月に社会体育大会があり小学校のバザーに少年連盟として参加し育友会と協力しています。スキー遠足は公民館主催です。6月の提灯行列は思い出に残るので、金沢らしさも活動の中に引き出せたらいいと思います。
橋本 本日は、1人1人が意見を出し合える場になり、子どもに自分の背中を見せたり色々な体験をさせて子どもの感性を磨いたりしていくことが大切であるとしっかりと確認できました。基本が大事で特に挨拶が大事等、今後の参考になることが沢山あったと思います。今後も子どもたちのため自分たちの幸せのためによろしくお願いします。本日は有難うございました。
◇参加者からの意見・感想
①人数は少なかったが、グループ討議することでいろいろな人と話ができて良かったです。
②グループごとの交流があったことで、様々な考えに触れ合うことができて良かった。
③子どもには、楽しい経験や活動をたくさんさせて笑顔の中で多くのことを学ばせ、気づかって挙げたい。子どもは地域の宝物。子どもは子どもの中で関わり合いながら学び・成長していく。
④今回、パネリストの方とグループの方と交互に話を伺うことができて良かったと思う。大変視野が広くなったような気がします。
⑤子ども達には、いろいろな活動が必要です。でも、基本は「あいさつ」だと思います。
◆ 参考資料として
(1)いじめ件数
文部科学省が2023年10月3日に不登校、いじめ等に関する調査結果を公表しました。いじめの認知件数は全校種計で681,948件で前年度の615,351件から66,597件(10.8%)増加しています。また、重大事故の発生件数も923件と増加しており、いずれも過去最多の結果でした。
(2)不登校 29万9048人
2023年10月4日に文部科学省より公表された結果によると、小中学校における不登校児童生徒数は29万9048人(前年度は24万4940人)となり、前年度比で22.1%増加し、約30万人になったことがわかりました12。
(3)自殺者 厚生労働省自殺対策推進室 警察庁生活安全局生活安全企画課
○ 令和5年の自殺者数は21,837人であり、前年か ら44人減少した。
○ 男性は116人増加、女性は160人減少したが、20 歳代以下の若者においては、 男性は減少し、女 性は大きく増加した。
○ 学生・生徒等のうち小中高生の自殺者数は前年 と同水準の513人であり、男子 生徒が34人減 少した一方で、女子生徒は33人増加した。
令和5年度 「2023年 21世の教育を考えるシンポジウム」の概要
パネラーの自己紹介
橋本 まず、パネラーの皆さまから自己紹介をして 頂きたいと思います。
石黒 金沢市子ども会連合会育成部 副部長をして おります、石黒と申します。
鶴山 金沢市PTA協議会 副会長をつとめており ます、鶴山と申します。また、金石中学校のPTA会長もしておりまして、地域の観点、父親とし て等、色々な立場からお話をしたいと思います。
中田 認定こども園「正美保育園」の園長の中田と 申します。子どもを取り巻く環境が変わっていま す。そこも含めながら、今日、皆さんと色々なお 話ができることを楽しみにしてまいりました。
テーマ設定の理由
橋本 テーマの設定の理由は、昨年度のシンポジウ ムは『コロナ禍により変化した社会生活で、私たち大人は何を大切に考え、どう関わればいいのか』ということでパネルディスカッションが行われました。その場で、課題としてあげられたのが、コミュニケーション能力の低下でした。人とのコミュニケーション不足による将来の人間関係作り。距離を取らなければならないと教えられた子どもたちはどういう関係を構築していくのか。低年齢層における人間関係の希薄さからくる今後の影響として、表情を読む経験不足。身体接触や遊びの不足等。たくさんの課題があげられました。
そこで、今年のシンポジウムでは『人との関わりやコミュニケーションを豊かにしていくには、私達大人はどう関わればよいのか』をテーマとしてコロナ生活を4年間過ごした子どもたちの健全な成長を促すために、地域や学校、家庭で子どもたちに接する大人たちにアドバイスとなるような関わりを提言できればと思っています。パネラーを含めたくさんの方々のご意見を頂き、今後の参考にして頂ければと考えています。まず、パネラーより、それぞれの立場で現状を報告して頂き、人との関わりやコミュニケーション不足の問題をどう捉えているか話して頂きたいと思います。
◇人との関わりやコミュニケーション不足の現状
石黒 コロナ禍で、地域での行事も少なくなりました。子ども会では、ラジオ体操が地域に集まってできなくなったので、家族ですることにしました。家族でして絆が深まったという話もあり、両親が朝早く仕事に出る時は、祖父母として3世代交流もできました。子どもたちからSDGsに関わることがしたいという話があり、夏休みにSDGsのアクションビンゴゲームに取り組みました。ビンゴの開いている所を家庭で何を目標にするか一緒に考えて頂きました。コロナでどこにも行けないから何かしてほしいと言われました。いっぺんに集まることはだめなので、学年を分け、年齢に応じた行事を考えました。海に行けないというので、海辺の生き物に触るという行事もしました。
橋本 集まれない中、工夫して目的を達成のため、子どもの意見も尊重して進めていきましたね。
鶴山 中学校、地域の現状の観点で言うと、コミュニケーション不足で懸念されたことは多くあったが、現状では何か起きていないが、将来的には懸念されることはあると思います。コミュニケーションは、子どもたちよりも子どもたちを見守る大人の方に少し課題があると思います。先生方の立場で言うと、私たちの金石地域は、地元の月刊誌に書かれていましたが、泉丘高校への進学率が一番低い中学校となっています。毎年、新聞社から進学人数を訊かれるが校長先生もどう答えていいか分からないということがあります。その中で、校長先生教頭先生を中心に子どもたちのためにコロナ禍でも、非常に色々な策を試みていると思います。働き方改革で限られた時間の中で、今まで子どもたちに時間をかけたことがなかなか時間がとれず、保護者が何かサポートできないかと思います。先生が、子どもたちのために地域環境をよくするために前を向けないかといつも考えています。保護者については、昨年からPTA育友会に意味はあるのか、子どもたちに関わることに意味があるのかと言われる中で、自分だけよければいいという親が増えています。地域の大人が全員でしっかりと地域の子どもを支えていくという観点を持てなくなっていることが課題。教員や保護者が自分だけよければいいという観点が増えてきて、コミュニケーション不足という課題が出てきている。
橋本 教員もPTAの存続意義を大事だと思っているが、いかに保護者に分かって貰うかということで、大人のコミュニケーション不足が課題としてありました。PTA活動は、教員と一緒にやっていく。子どもの将来のため足を引っ張り合うのではなく、子どもたちを中心に置いてしっかり成長させていくということで協力していきたい。
中田 乳幼児に関わり保護者とも関わる。地域の方とも関っていく仕事です。まず、乳幼児について弊害はマスクです。表情が読み取れない子がいる。共感することが苦手。そういう子が増えている。大人もマスクをつけています。そんな中で育ってきた子どもたち。5類になりマスクをはずした時、いつもより寄って来る子どもが増えました。マスクをとるだけでこんなに影響力があると思いました。距離をとっていたことで子どもたちは群れを作れなかった。子どもは群れの中で育つ部分がある。その群れが分断されてしまうという寂しさ。それが当たり前だったのを当たり前じゃない。繋がるって楽しいんだと子どもたちに分からせてあげたいという思いで、今年4月スタートしました。群れは子どもだけの問題ではない。大人の問題も大きい。コンカフェを聞いたことがありますか。コンセプトカフェ。メイドカフェの逆版。素敵な美形の若い男の人がキャラクターに扮装してカフェで待っている。ホストクラブはお酒を飲めるような大人の女性が行くけど、このコンカフェはなんと中高生が行く。数年前、歌舞伎町で22店だったのが今は全国に広がりこの石川県にもあるのではないか。そこに行くのに10万円かかります。中学生が10万円も持っているのはパパ活です。でも、その子たちは悪いと思っていません。一緒に食事に行ったら1万円くれる。私だって働いて貰っているという感覚。行っている子の8割がリストカットしている子ども。要するに、人とうまい関係が築けなくて誰にも寄り添って貰えなくて自分を見て欲しくてリストカットしていた子どもたちが、自分を癒やしてくれる場を求めてコンカフェに行っている。寂しいなと思いました。私は乳幼児に関わる仕事ですが、やっぱり大人の繋がりが大事。私の園でルールを決める時、「決めてください。その方が楽です。」という職員が多い。でも、ルールは一緒に話し合って決めればいい。そこでコミュニケーション生まれる。そういう面倒くさいことを大事にしてなくてはいけない。保護者会がやっていることをみんなに分かって貰うため、今年から保護者会だよりを出しました。会長さんがスマホでテンプレートを作り、写真と文章を入れ込むだけにしました。保護者会の役員の顔も分かるように顔写真も載せました。保護者会は堅苦しくない。みんな楽しみながら子どもたちにも楽しんで貰いたい。今年の保護者会の役員は群れを広げようと頑張っています。楽しさを共有するところからと思って繋ぐ意味でやっています。繋がることは本当に大事だと思います。
橋本 楽しさが伝わる保護者会だよりです。コンカフェは大変衝撃を受けました。コミュニケーション能力を身に付けるのに一番重要な乳幼児期に周りの大人の関わり方が非常に大事だというお話でした。フロアの皆さんと人との関わりやコミュニケーション不足の現状を共有したいと思います。
フロア うちの学生団体の代表も来ているが、コロナが始まった時に入学してへたをすると顔が分からないまま卒業していく。コミュニケーションがとれない。これから就活に向けていく時にコミュニケーションがとれていないのに、明日からお客さんの前に出るのかということです。学生は、もの凄く不安だと思う。私たちは、月に1回石川・福井で、大学の教授、企業の社長、学生等が参加し、一晩焚き火を囲んで徹底的に話す会をやっている。不安は何か。何が足らないか。学生はコミュニケーション不足の他に、課題に追いかけられていると言っている。この会も凄く興味があり来たかったが、集中講義で来れないと言っていた。
フロア 現在金沢大学2年生。コロナが始まったのが高校2年で、大学の入学式はあったが、マスクをつけていました。大学が始まってオンラインで授業して、初めて金沢の地に来たのに周りに友だちもできずに戸惑っていました。コミュニケーションでは、SNSとかスマホとかデバイスによるコミュニケーションの方が気になっていて、知らない人と触れるようになったりいつでもどこでもできるようになってしまったり。小学生でもスマホに触っていたりしているのを見ると早いなあと思い、その辺が凄い心配だなと思ったりしました。
フロア 県外に孫が3人います。1年に1・2度しか行き来できないが、テレビ電話があるので距離が縮まり、半年ぶりに来ても違和感なく会話ができる。テレビ電話とかアクションを起こすのは親。学校とか教育者に任せず、外へ出られなかった時期、逆に家庭で過ごす時間が多かった時に親が補うことができた。マスクで表情が分からないのは可哀想。マスクをとるとすぐに寄って来たと聞きすぐに解消できると思いました。うまくやっている所をやっていく。負担になることはしない。
フロア 重い障害を持っている子どもたちは、経験を積み重ねることだけが唯一の情報収集であり知識になったり生きていく力になると言われる。それがすべての行事やイベントが中止になり、今年やっと縮小して始めている。何年後またこういう場面が来てもこんな失敗はしないかもしれない。
◇人との関わり、コミュニケーション不足の解決策
橋本 人との関わりやコミュニケーション不足という問題を解決するには、どうすればいいのか。それぞれの立場で解決策があったらお願いします。
石黒 人との関わりやコミュニケーション不足がコロナ禍で起きていたと思うが、2類から5類にかわって子どもたちに何がしたいかアンケートをとりました。小さなグループで話し合いました。色々な人と関わりたいが第一にあげられました。子ども会連合会では、夏にグランドゴルフ大会をしていたのが、天候や熱中症が心配されたので、冷房の効いた体育館ですることになりました。旗源平や百人一首、金沢市レスキュー隊の人との綱引きや若い力もしました。子どもたちのしたいことを叶えてあげると言ったら、馳知事とレスリングをしたい。iPadを持ちながら地域の地図を作りたい等100以上の考えが出ました。コミュニケーション不足の解消にバス遠足をぜひしたいと言っていたので、お金もかかるけど、来年はバス遠足もして親と子、地域とも関われる行事をしたい。
鶴山 日本全体で所得格差等が目立ってきていて、一人一人にゆとりがないというのが現状。中心部から離れ郊外になるほど、偏差値のカーブがラクダのこぶのような形になっている。その中で、学校では、先生方が廊下に机を並べて出て行く子を制止するとか。保護者が1週間に1回校内パトロールするとか。この環境で子どもたちが感情をどう表現していいか分からないという中で、大人がどうやって関わるかが大事だと思います。PTA育友会活動ですべての地域の子どもたちと関わりを作っていくことが大事だと思います。一方で私も企業の代表として、大きな町屋を買って改修し専門性を持った美大出身のアーティストに集まって貰って、地域の小中学生と交流するプログラムを作ったり学びの機会を提供しています。子どもたちは、地域や親以外の人との関わりが減ってきたことで、俯瞰的に物事を見て自分の可能性や今後の進み方を考える能力が失われてきています。それをどうやって地域で作っていくのか。別の活動では、星稜大学の先生と合唱団を作って、幼稚園児から小学生まで交流する場としました。自由に自分らしく表現する形で、引っ込み思案で自分から表現出来なかった子が自分から司会をしたり自分の言葉で言うようになったり小さな成功体験が子どもたちの成長に繋がっています。コミュニケーションで言うと地域の大人との関わりが今後の解決策であり、地域を巻き込んだ活動が大事になってくると思います。
中田 当園の取組は、コロナ禍で群れという経験が少ない子どもたちの心をいかに繋げるか。それぞれの個性を伸ばすと言われるけど、好きなことだけ没頭してればいいのかと言うと、それだけで世の中渡っていける訳ではない。人との関わりやコミュニケーションする力がどうしても必要。繋がる楽しさを子どもたちに考えてほしいので、4才5才のクラスで話し合いの時間を毎日取りました。昨年度の運動会でクラス対抗リレーが予定されていました。水色グループのとても足の速いT君が骨折して、どうしようとなりました。T君はもう運動会に出れないと言う子、T君が出たいかどうかで決めたらいいと言う子。そこで走れるかどうかやってみたらうまく走れない。T君も辛い。応援団ってあるよねという声が出て、T君が応援団長として立派にそのクラスで居場所をみつけました。話し合いによって心も繋がっていく経験です。4~5才児が対話をして生きる力考える力を養っていってほしい。それが、コミュニケーションが豊かになる方法です。繋がりで苦労しているのは職場も同じ。当園は園児が300人で職員は67人。全員が同じ方向を向くのはなかなか難しい。一番上の職員は72才、若い職員は短大卒20才。話すと否定されるとか認めて貰えないと思っているので、とにかく言ってみればいいという環境を作り、年齢関係なく言えるようにしました。何でも言える環境は仕事の環境も良くなって、子どもにとってもプラスになっていく。私たちもコミュニケーション能力を培っていきたい。
橋本 職場の環境をよくすると、子どもにも返りコミュニケーション能力にも十分活用できる。意見を出し合って1つにすることが非常に大事です。
会場の皆さんからお願いします。
フロア 公民館のSDGs学級の委員長をしています。行事で地域の人がコミュニケーションを取れる場を作ろうと、去年夏のファミリーコンサートをお寺でやろうと思い募集したら0人でした。がっかりしました。今年の夏、ウクレレコンサートと体験をやりました。子ども会連合会に電話をかけたりしたけどやっぱりだめでした。思いが伝わらない。子どもを公民館の行事に巻き込むことは難しい。やる人も参加者も楽しいというコミュニケーションを大人がとり雰囲気が伝わるといい。
フロア 募集してもなかなか集まらないというのは現実。ある公民館がプールで水泳運動会をしました。公民館が使うとプールは無料。プールの床を上げて水深30センチにし、綱引きとかボールで遊びますが、子どもの参加が少ない。親は来なくて申し込むだけなのに。夏休みのプール開放もないから場を設けたのに来ない。子どもの背中を押す親が必要。公民館のプリントが回って来たら、子どもに紹介して欲しい。
橋本 持続可能な活動で無理なく出来ればいい。ちょっとの勇気が必要で周りの人の意見を貰って一歩踏み出していくといいということですね。最後にパネラーの方から一言お願いします。
石黒 子ども会の行事も親から子どもに伝わっていない。公民館の行事も公民館から親に伝わっていない。PTA行事も子どもに伝わっていない。それをなんとか伝える方法がほしいと思い探しています。縦や横の関係じゃなくて、地域も含めた斜めの関係がコミュニケーションを作っていけるようになればいいかなと思っています。
鶴山 幼稚園の園児数が10年間で半分に減っている。保育園児の園児数は増えている。共働き世帯も多い中で、なかなか地域の行事やイベントに参加する関心を持つ家庭が減っているというのは間違いない。主催者側にしても、子どもが減っているという現状下で何か用意すれば来るではない。親の目線からどういうことができるか。子どもの成長に繋がるかがはっきりしないと出来ない。発信したから伝わるのではなくて、今の時代に即した伝え方もあります。そういう発信をしなければ人は集まってこない。これからは、時代に合わせたやり方で取り組んでいく必要があると思います。
中田 今日改めて繋がる楽しさ知る楽しさを実感した所です。同業者や知っている仲間だけでない。色々な所と繋がる。色々なお話を聞くことによる楽しさを持ち帰って職員にも伝えたい。その繋がる楽しさを職員が感じていれば、わくわく感が保護者にも伝わるかもしれない。保護者もわくわくしてそういう場にどんどん子どもを連れて出て行く。子どもも刺激を受けて繋がっていくと思いました。それが自発的から意欲的。そして主体性という流れになる。その大切さを改めて感じました。
橋本 パネラーの皆さんに大きな拍手をお願いします。本日は有難うございました。
令和4年度 「2022年 21世の教育を考えるシンポジウム」の概要
◆バネリスト自己紹介
山下 まず最初に、パネリストの方に、自己紹介を お願い致します。
天村 金沢市PTA協議会の副会長の天村といいま す。小立野小学校の育友会の会長をしています。後は、石引少連の副委員長とか消防の石引分団の 班長など地元の活動をいろいろとやっています。
嶋﨑 米丸小学校、校長の嶋﨑です。校長としては、 今年で7年目。米丸小学校は3校目です。米丸小学校は児童数は888名と、とても大きな学校で、そのためコロナで多くのお子さんがお休みし、大きい学校なりにこのコロナの影響を凄く受けたなと思っています。
鈴木 3月まで児童館の方にいましたが、今日は、地域人としての立場です。
森下 平和町児童館の森下です。
◆テーマ設定
山下 今年は、コロナ下でも、3年ぶりというのがキーワードになっていますが、コロナ下で社会生活がもの凄く一変しました。学校では、タブレットをみんな持つようになり、定数改善にもなりました。今まで出来なかったことが一気に出来るようになり、コロナ下で社会生活は一変したと思っています。社会生活でもリモートが増えました。そういう変化した中で、近づいてはいけない、社会的ディスタンスをとりなさいということを言われたり、インターネットの普及で対面よりもリモートでやることが多くなりました。情報社会が急激に進歩したことはいいことかもしれませんが、子どもを取り巻く中ではなかなか難しい点があると思います。今日は、コロナ下で子どもたちを取り巻く状況を振り返り、課題を共通化することにより『私たち大人は、何を大切に考え、どう関わればよいか』をテーマとしていきたいと思います。
◆コロナ下での子ども達の状況
天村 コロナになって、学校で当たり前だと思っていたことが、そうではないことに気づかされました。急に学校がお休みになったり入学式や卒業式等保護者が行けなくなり授業参観等が減ってしまって、学校での子どもたちの様子を知る機会が凄く少なくなって不安を感じることもあります。PTAも、親と学校を繋げるような色々な活動をしてきましたが、コロナでどうしても難しいということで、活動を色々とやめている学校もあります。今、PTAの活動自体がいらないという話が出始めていて、それはないともっとアピールしていかなくてはならないと思っています。金沢市としてGIGAスクール構想が、いつ始まるのかと見ていたら、このコロナ下で一気に始まり、1年生から6年生までみんなタブレットを持っています。学校の先生方の戸惑いや保護者の中でインターネットの使い方が分からないという不安も多いので、課題を持ちながらも、GIGAスクール構想が一歩前進したことはプラスに捉えて、コロナが終息しても活用すればいいと思います。
嶋﨑 令和元年度の3学期頃からコロナが始まり、密集密閉密接の三密を避ける新しい生活様式を取り入れて学校を行うこととなり、手指消毒や手洗い、マスクの着用と子どもたちの生活様式が一変しました。理科の実験で密集するのは避ける。音楽で大きい声を出す合唱はだめ。リコーダーや鍵盤ハーモニカも避ける。調理実習も出来ない。グループでの活動は難しい。学校も教師も、だめだったらどうするという戸惑いが凄くありました。フェースガードを学校で購入して理科の実験をしたり行事も縮小したりしました。運動会も全校で集まらずに低中高別でする。コロナの影響で集まることが出来ない。当たり前だと思っていた活動が出来なくなることで、子ども達も先生方も大変戸惑いました。1年2年3年が過ぎ、少しずつコロナに対応した学校行事の在り方や授業の在り方を先生方が学んで、ようやく少しずつこうすれば大丈夫かなとなっています。コロナは非常に感染しやすくなり進化していて、対策をしているけれど、欠席数が一向に減らないという状態です。
鈴木 地域では、昔からの祭りや町会ごとの色々なイベントが計画されていて、子どもたちは幸せだと思っていました。しかし、コロナ下、子ども達は、友達と一緒に遊ぶ機会や地域の方との関わりが少なくなりお祭りや行事もできなくなり寂しいことです。公園も閑散としています。お稽古事や学習塾もお休みで、子ども達は家でテレビを見たりゲームをしたり家に籠もることが増えてきて、おうちの人が心配しています。その中で、スクールサポート隊の方が声を掛けたり付き添ったりしていて、声掛けって本当に大事だなと思いました。
森下 児童館に児童クラブがあり、学校でも家庭でもない素の自分を出せるほっと出来る居場所でありたいと活動しています。社会に出て生きていける子どもに成長してほしいと3年生になると3年間の活動の集大成として旅立ち遠足をしています。コロナ感染拡大で、1泊から日帰りに縮小し、内容もコロナの状況に合わせて変更しています。仲間と一緒に活動し横のつながりを大切にしてほしいと続けています。平和町児童館は、建て替えのため仮住まいで、ホールがなく思いっきり体を使って遊んだり外遊びが出来ない現状です。高学年が、今まで培ってきた経験を生かして、部屋の中で手作りおもちゃを作ったり階段や廊下などで遊びを工夫しています。縦の繋がりと横の繋がりを楽しんでいます。コロナ感染では、夏休み初日に女子が発熱し男子も発熱し介護していた職員が翌日発熱して陽性になりました。陽性と判明した翌日から休館して蔓延防止することができました。回復してきた子どもが、仲間と遊んでいる様子を見て、子どもの心に寄り添い繋がっている大切さを感じています。
◆子どもたちを取り巻く課題
森下 児童館は、行事や活動ができなくなったことで、子ども同士、父母同士、縦の繋がり横の繋がりが本当に薄れてきていると感じます。
鈴木 声掛けが大事で、コロナ下では、なかなか人との繋がりがないから、ありがとうを言う場面もなかったけど、声掛けをいっぱいしてほしいと思いました。
嶋﨑 学校と保護者、学校と地域との繋がりもなくなりました。子どもと先生、子ども同士、行事を通しての教師同士の繋がりもだんだん少なくなってきたというのが課題だと思います。
天村 大人がコロナの感染対策が‥感染対策が‥となると、子どもが何かしたいということに制限を設けることが圧倒的に多くなっている。子どもがもうマスクはずしたい遊びに行きたいと言うのを親が今はやめてと言うと、子どももそういう考えが当たり前になって、今後コロナがあけた時に、前向きに行動出来なくなることが課題です。
◇会場からのご意見
・教師と子ども、子ども同士の繋がりが少なくなってきたと言うが、具体的にどういうことなのか。
嶋﨑 子ども同士は、休み時間は普通に会話してますがマスク越しで表情が見れず親密感が少なくなっています。教師と子どももマスク越しで、子どもと一緒に遊んで触れ合うことも少なくなりました。鬼ごっこはいいのか同じボールでドッヂボールしていいのか、ボールは消毒してするのかなど凄く気にしながら学校で生活していました。顔を見て親密な関係を作って学級経営することが難しい中で、新しいやり方で学級を作っていくという現状です。
・フロアー人生、常に危険が付きものを教える。教えるのにまたとないいい機会です。日本人は、起こって欲しくないことは起こらないと信じているが、起こって欲しくないことがもっと起こりそうです。大人が子ども達の先頭に立ち心配するなと勇気を与えなければいけない。民間企業でコロナで業績下がったとは絶対言えない。学校教育もコロナで教育効果が下がったという言い訳はして欲しくない。知恵を出して策を講じたと言うべきです。
・フロアー 色々な行事や体験がこの数年分欠落となるのか。この3年間に色々やるべき行事、体験、実験は欠落したままにするのか取り戻すのかが疑問です。よいこともあり、パソコンの導入が早まったとかこれからの時代に合っているが、残した方がいい経験した方がいいことが欠落したことについて、終息した時の対処や準備について聞きたい。
嶋﨑 学校行事は、欠落というか全くやらなかったことはなくやり方を変えました。運動会は、全校一斉でなく低中高学年に分けてするとか1日かけずに種目を少なくして半日で終わらせるとかやり方を変えて行ったので、欠落はなかったです。ただ1つ、コロナの1年目に全くできなかったのは、水泳学習です。金沢市では、水泳はやめたので、次の年どんな影響がでるのかが心配でした。2年目は水泳学習も工夫し、更衣室も密にならないようにし、回数も減らしました。3年目はもっと工夫しています。
天村 育友会の活動は1年目の時からなくなりかけました。保護者から専門委員を選出して広報誌を作る係などを決めるために集まることもできず、執行部だけでした。学校の様子も分からない中で、広報誌なら密もなく作れるのではないかと執行部で作ってその年も出し、学校の様子を保護者に伝える広報誌を継続しました。子ども達のイベントは、前やったものを削るのではなく、コロナの状況を把握した中で何ができるか。0からできるものを積み上げていく。プラス思考で進めました。出来ないから削る考え方では、テンションも下がる。出来ることを1個ずつ積み重ねて保護者も達成感を味わい、子ども達にも味わって貰い、前とは違うけど欠落はなるべくないようにしました。
森下 児童館には、6年生までが来ているので、4年生以上の子ども達が遊びを考えて低学年に落としていく。感染対策は、小グループに分けて、異年齢で時間差にし、4つに分けて1日かかってこなしました。出来ないのではなくて、どうしたら出来るか考えて工夫しています。
◆何を大切にし、どう関われば良いのか
・フロアー 子どもが安心を担保にして教育の場を確保することが大事。1人では解決できないので、仲間と知恵を出し合い克服していくのが大事。繋がりや仲間を子どもに限らず大人が持つことは大事。子どもも大人も学びたいと思うのは、勉強だけでなく、この時代をどう乗り切るか。大人が安心を担保にして、人生って楽しいんだよと伝えることが大事。そんな形で大人と子どもが関われればいい。
森下 平和町児童館は、テレビやゲーム機がない。児童館に来たら帰るまで一切ゲーム遊びは出来ない。体を使って仲間と遊ぶということを大切にしているので、摩擦も起きる。コミュニケーション力が弱い子が切れているようです。その子の思いも聞いて、どうしたいのか時間をかけて聞くことも心掛けて子どもの思いに寄り添い、前を向いて活動していきたいと考えています。
鈴木 福島の子ども達が10年後逞しくなり仲間に声掛けして集まり、地域をなんとかしようというのがずっと報道されていました。地域の力は、大人が若い子たちを支えて、前向きに声掛けして仲間を集めて、地域のためにみんなでやろうということです。大人の関わり方は、声掛けし目的をはっきりさせて繋がっていけばいい。大人も子どもも一緒に育っていく温かい地域になったらいい。
嶋﨑 繋がりが薄くなり、自分が人の役に立っていると実感することが少なくなっています。勉強でも僕の考えで分かったと言ってくれると嬉しい気持ちになります。高学年では、行事で自分が人の役に立てたという実感が凄く多くなります。体験を通して自分が役に立っているんだ、自分って人の役に立つ人間なんだということを大切にしていきたいと思っています。コロナのせいか分からないですが、自己有用感がだんだん子ども達の中で少なくなっているような気がして、体験を通しリアルに自分は役に立つ人間だということを実感してほしいと思います。
天村 大切にしたいことは、子ども達の今に向き合うことです。大人は、学校の行事も地域の祭りも今年は3年ぶりに出来てよかったねと。子ども達は、1年ぶりに出来たからよかったではすでに遅くて、もう卒業してるとか取り戻せない。卒業式の時に両親が出席出来なかったから、もう1回両親揃って卒業式することは物理的にも難しい。子ども達には、今しかないので、子ども達に直に向き合って、今の子ども達にしてあげられることを考える。この前、南小立野で事故がありました。前からあの場所は危険だと言っていたけど、動いてもらえなくて、実際事故になってしまった。その後に標識が立ったと今日の新聞に載っていました。済んでしまってからでよくはないけど、それをきっかけに何か物事が動いたというのは、総合的に見たら停滞とか欠落ではない。この3年間、コロナ下で子ども達にしてあげられなくなったことを今後どうするのかを大人がしっかり考えて責任を持って行動して、子ども達の今と向き合うことが必要だと思っています。
◇会場からのご意見
・フロアー コロナは考え直すポイントです。慣例や当たり前が出来なくなり何ができるのか考える機会になっています。PTAの会議も、リモートで話し合いが出来るようになり、お父さんが職場からリモートで繋いでくれたりお母さんが近くに子どもを見ながら参加したりしています。バザーは難しいから、何か子どものために出来ないかと、リモートを利用してクイズ大会をしました。出来なくなって大切だなと分かったものもあります。水泳もそうだし、全校の子ども達が体育館に集まっていた全校朝会もそうです。今は校内放送です。でも、先生方から上級生の姿を見ながら全校朝会することは必要だからなんとかしたいという声があがっています。コロナは考え直すポイントです。
・フロアー 子ども達同士の繋がりが弱くなったのは、コロナのせいなのか。30年前とコロナ前の3年前の子ども達の様子を比べると、コロナでなくても人間関係が弱くなっていく時代はやってきたのではないか。だから、コロナがなくなっても元に戻りません。何かをしなければ戻らない。それは、大人の関わりです。コロナの時代の大人は、ブレーキを踏むことに一生懸命でした。今後はブレーキを離すむしろアクセルを踏む。多少の危険を視野に入れ、覚悟して子ども達の活動のブレーキを緩めるアクセルを踏むと方向転換をする必要がある。
・フロアー 最近は、管理職になりたがらない若者が多い。ひどいことはしたくない。定時に帰る。バイトの若者も、昔はリーダーになりたいと一生懸命勉強したり働いたり新しいことを考えたりしていました。リーダーになるには、下になる仲間を作らないといけないので、面倒みたり声掛けしたり相談に乗ったりして人間関係を作って、上をめざした。それが全くなくなって、ぴったり5時に一瞬にして帰って行く若者が増えている。リーダーになるにはぶつかり合いがあって、色々経験しながら上をめざしたのが、ぶつかり合いがない。大人も、子どもにぶつからずにうまく進めることを教えている。痛い思いをして初めて痛さが分かる。失敗させたくないという大人の変な思いが子どもに伝わってしまった。コロナでなおさら大人は守ろうとします。自分を守ろうとする意識が、子どもに悪い影響を与えなければいいと思います。
・フロアー もっと人間強くなろうという姿勢を教育関係の方に持っていただかないと、日本が弱くなると痛切に感じます。
・フロアー 何かあると子どもが子どもがと言いますが、子どもは大人の鏡です。大人がだらしないと、子どもがだらしなくなる。子ども達だけにコミュニケーションをよくしろと言っても、無理で、大人達がコミュニケーションをよくすることだと思います。子どもは大人を鏡としていると意見したい。
◆コーディネーターのまとめ
それぞれの立場で自分のお考えを述べていただきました。コーディネーターとしてお話を聞いて大人が大切ものは、まず「1番は大人」。それから「1人ではなく仲間と」。そして、「子ども達には安心を担保して・安心させて活動していく」ということではないかと思います。
コロナで大きく変化した社会で私たち大人が、これから何を大切にしていけばよいのかというのは、何を言っても「大人が先に行動しなければ駄目だ」と言うことです。子ども達の今は今しかありません。これからも子ども達を中心に置いて取り組むことが必要だと思っています。本日は、どうもありがとうございました。
令和3年度までの【18歳成人時代】の子育てを考えよう
2022年(令和4年)4月から18歳を成人とするよう民法が改正されました。今の中学3年生は高校を卒業した時点で、中学2年生は高校3年で誕生日を迎えた日から成年となります。このように、高校在学中に成人となる時代を迎えるにあたり、「自立・自律した成人」に育てていくために、学校・家庭・地域が何を大切にして子育てをしていけばよいかを、考えていく必要があるのではないかと思い、このテーマを設定しました。
令和3年度(4年目) テーマ「最終年度」
【18歳成人時代】の子育てを考えよう
自信をもたせるために ~どんな活動に参加させればよいのか~
2021(R3)年は、初年度に掲げた3本柱の「②様々な活動に参加させ、社会性と自信を持たせよう」に視点を当て、企画→実施→評価・改善の過程を経験させ、自信と責任能力を育てるためには、<どんな活動に参加させればよいのか>を中心に話し合いました。
☆ コーディネーター 山下 修一 氏(金沢教育振興会 理事長)
☆ パネリスト 西川 廣 氏(金沢市子ども会連合会 副会長)
村井 繁夫 氏(石川県高等学校PTA連合会 会長)
宮 貴之 氏(金沢市PTA協議会 副会長)
-
司会
寺井 雅樹 氏
金沢教育振興会
理事 -
開会の挨拶
大杉 繁 氏
金沢教育振興会
会長 -
パネリスト
村井 繁夫 氏
石川県高等学校PTA連合会
会長 -
パネリスト
宮 貴之 氏
金沢市PTA協議会
副会長 -
パネリスト
西川 廣 氏
金沢市子ども会連合会
副会長 -
コーディネーター
山下 修一 氏
金沢教育振興会
理事長 -
全体の様子
-
全体の様子2
-
閉会の挨拶
釣本 直行 氏
金沢教育振興会
副会長
最終の4年目・シンポジウムのまとめとして
来年4月から実施される「18歳成人時代」になる前に、子育てを考えようと題して3名のパネリストから、そして、ブロアー参加者から、それぞれの立場での意見を頂きました。
それからの発言のキーワードは「多様・評価・いろんな人達(大人・子ども)・体験(経験)」でした。
それらをつなげ、
・子どもも人格を持った一人の人間と認め、親が子どもをコントロールするのではなく、親は子どもと一緒に、多様な評価に心がけ・いろい ろ人々との出会いの場を用意し・様々な体験や経験ができる活動に参加させればよい。
と、まとめることができました。
子ども達の前にいる大人は子ども達のモデルとなる。そのモデルが「自信満々な姿」「失敗しながらも努力する姿」のどちらでも良いのではないか。法律としては18歳で成人になったとしても、自信をもって社会の中で生きる大人に成長するには、多様な出会いや経験が必要ですね。
感染防止の為、定員を30名と限定して開催した結果、参加者は少なかったのでかが、パネリストの提案・フロアー参加者の意見・コーディネーターのまとめを整理し、金沢教育振興会からの「提言」として会報(金沢教育振興会だより76号)で市内小中高・公民館等に発信します。
18歳成人時代の子育てについてのシンポジウムは、本年度が最終でした。令和4年4月実施になって慌てないようにと考え、この4年間本会シンポジウムで話し合ってきました。教育や子育ては永遠の課題です。私たち教育振興会の活動(会報)が、県民市民に刺激を与え、教育振興に寄与できれば幸いです。
令和2年度(3年目) テーマ
【18歳成人時代】の子育てを考えよう
~意見交換や会話する機会をどのように持てばよいのか~
2020(R2)年は、初年度で掲げた3本柱の「情報の真実を見抜く力を身に付ける」ため「③親や大人、友人と意見交換・対話する機会を持てばよいか」に視点を当てて話し合う場を設定することにしました。
☆ コーディネーター 堀田 葉子 氏(石川県文教会館 館長)
☆ パネリスト 石倉喜八朗 氏(石川県立津幡高等学校 校長)
黒田 朋宏 氏(金沢市PTA協議会 副会長)
荒牧 秀樹 氏(金沢市子ども会連合会 事務局長)
-
司会
寺井 雅樹 理事
県退職校長会
事務局長 -
登壇者
-
開会の挨拶・紹介
金沢教育振興会
大杉 繁会長 -
コーディネーター
石川県文教会館
堀田 葉子館長 -
パネリスト
石川県立津幡高等学校
石倉喜八朗 校長 -
パネリスト
金沢市PTA協議会
黒田 朋宏 副会長) -
パネリスト
金沢市子ども会連合会
荒牧 秀樹 事務局長 -
全体の様子
-
閉会の挨拶
近本 嘉治 副会長
県小中校長会
事務局長
3年目・シンポジウムのまとめとして
【パネリストからの主張項目】
①子どもの現状・②欠けているものは・③未来を担う力を培うために・④多様な経験から学ぶ・⑤今後について、の5項目でパネリストに語っていただきました。
【参加者からの意見】
・親の役目として、目先の事だけでなく、自分の 思い描いた未来を見せてあげる、子に気付かせてあげるとのご意見は、その通りだと思いました。自分の息子の事を考えた時、夢が持てなかった時代があったと思います。でもそんな中、未来に向けての事を話してやり、きっかけにしていくことが大事だと思います。
・一人一人の子どもを見ると、多分良い子達なんだろうと思います。私達は今の若者達に社会を委ねる立場にいますが、一人一人の良い子達が寄り集まったら、良い社会が築けるか、委ねることができるのでしょうか。それは、単純ではないと思います。そこには、集団の力、組織の力、団体の 力が必要になり、その力を付けるために、対話やコミュニケーションが求められます。
・今の子ども達は、つまづきや挫折をどれだけ経験しているのでしょうか。何かあった時に、強く生きていける育て方をしているのか心配になります。汚いものや弱い者から目をそらし、きれいなものばかり見ている子ども達ですが、世の中はきれいなものばかりではないことを分かって欲しいと思います。
【コーディネーターのまとめ】
この10年ほどの小中学校教育の成果で、高校においても、グループ活動の体制ができ、話し合いが大変上手になりました。しかし、内容の深さについては、これから高めていかなければならないことです。知識を身に付け、社会に出た時、体験したり経験したりして使える力にしていかなければなりません。また、私達は子ども達にきちんと答えられる大人である事も大事だと思われます。
今回は、様々な立場からお話をいただきました。一人一人が良い子です。また、一人一人がある程度会話が成立していて、好ましい子に育っています。
しかし、それだけでは18歳で契約を結んだり、あるいは国民投票で一票を投じる判断力の育成には十分ではないというのが現実だと思います。家庭においても学校においても地域においても協同した形で子ども達の力を確実に培っていく場を持つ事が大事だと思います。来年度、もう一度、話し合う機会がありますので、そこに繋げていきたいと思います。
令和元年度(2年目) テーマ
【18歳成人時代】の子育てを考えよう
どんな人と(どのように)出会わせればよいのか」
初年度で掲げた3本柱の1つ目にあたる「①様々な人と出会う機会を持たせよう」を掘り下げようと考えました。初年度では「異年齢の他者(特に大人)と接する」と限定していましたが、改めて「どんな人と(どのように)出会わせればよいのか」をサブテーマにしてシンポジウムを開催致しました。
☆ コーディネーター 小浦 寛 氏(石川県文教会館 館長)
☆ パネリスト 中黒 公彦 氏(金沢市子ども会連合会 広報部副部長)
山下 一義 氏(石川県立野々市明倫高等学校 副校長)
相羽 大輔 氏(金沢市PTA協議会 副会長)
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総合司会
大杉 繁氏(金沢教育振興会 副会長)
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会長挨拶
竪畑 政行氏(金沢教育振興会 会長)
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コーディネーター
小浦 寛氏(石川県文教会館 館長)
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パネリスト
山下 一義氏(石川県立野々市明倫高等学校 副校長)
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パネリスト
中黒 公男氏(金沢市子ども会連合会 広報副部長)
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パネリスト
相羽 大輔氏(金沢市PTA協議会 副会長)
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登壇者
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全体の様子
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全体の様子
2年目・シンポジウムのまとめとして
【バネリストの主張】パネリスト3名の主張を短くすると
・前後・左右・斜めを見渡せる親のような人に中学2年生(立志)を迎える年頃に合わ せたい。④
・「変化」を楽しめる大人。⑬
・ねじれた位置に居て、失敗経験があり、肯定的・前向きな考えを持った人と、でき るだけ自然に近い関係で。③
【参加者・小グループのキーワード】参加者による小グループ討議からキーワードは
1先ず、親の生きる姿・価値観である。しかし、親の「変化を恐れる」姿が多すぎ る。(社会は、既に変化しているのに)
2・とにかく話す機会がある場に行く。会話する。③
3・来る18才の成人に対して、人生経験の話の場を設定する。①
4・子どもの成長・発達段階に応じた子共にとって「かっこいい」人に出会わせたい。①
5・様々な人と出会う機会を持つことは大切に。しかし、誰ととへこで(いつ)出会わすか、までは決める必要はない。
6・いつもニコニコしている人。⑤
一人1票で投票した人数が「数字」である。
【コディネーターのまとめとして】
皆さんが貼った共感シールの数を見ると、1番が「変化を楽しめる人」。2番が「いつもニコニコしている人」になりました。いつもニコニコというのは変化を楽しめる人のことであって共通している面があります。皆さんはいろんな言葉でおっしゃっているわけで
一番底の部分は同じかなと思います。ただ言葉としてしっくりくるのは 「変化を楽しめる人」ということになります。
それは、「失敗を恐れない」とか、「失敗をいっぱいしている」、「失敗していてもめげなくて前向きに頑張れる」ということになります。別の言葉にすれば、「ねじれた位置にいる」とか、「失敗経験がある」と言うことになり全部つながってきます。
今、学校現場では「失敗をさせない」という変な文化があります。でも、本当は失敗をさせて本当にやる気を出させて自分でやってみる。そんな経験をもっともっと積ませていくことが必要だと思っています。
今日の話し合いで、「変化を楽しめる」と言うキーワードは非常に分かりやすくていいキーワードができたなと思っています。ただ、「どのように出会わすか」ということは非常に難しい。グループの考えに「そこまで決める必要はない」とありますが、「どんな活動において出会わせるか」ということについては、
家庭でも学校でも仕掛けが必要だと思います。今年は「人」がテーマで、来年は「活動」がテーマになります。どんな活動を用意するかについては、来年度のテーマにつなかっていくと思います。
【提言に代えて】
パネラー及びグループ討議の中からいろいろなキーワードが示され、その中で最も共感できるキーワードにシールを貼りました。
その結果、「①変化を楽しめる人」「②いつもにこにこしている人」「③前後・左右・斜めを見渡せる親のような人に中学2年生(立志)を迎える年頃に合わせたい」。これらのキーワードは、つまるところ私たち大人の生き方を示しています。「変化を恐れず、困難に出合っても悲観的になることなく、前向きに対応できる大人」こんな姿を若い世代に見せていくことが大切なのではないでしょうか。
平成30年度(初年度) テーマ
【18歳成人時代】の子育てを考えよう
~あなたは、「自分の子ども」・「地域の子ども」に対し、何を大切にして行動しますか~
4年後の2022年4月から18歳を成人とするよう民法が改正されました。今の中学3年生は高校を卒業した時点で、中学2年生は高校3年で誕生日を迎えた日から成年となります。このように、高校在学中に成人となる時代を迎えるにあたり、「自立・自律した成人」に育てていくために、学校・家庭・地域が何を大切にして子育てをしていけばよいかを、考えていく必要があるのではないかと思い、このテーマを設定しました。
パネリストからのキーワード
①堀内 誠 氏(金沢市子ども会連合会 育成部長)
・経験を積む 新たな出会いを大切にする
② 河岸 美穂 氏(金沢錦丘高等学校 教諭)
・異年齢の他者との出会いを通して社会性を深める
③久野 隆司 氏(金沢市PTA協議会 副会長)
・うそを見ぬける力
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◆ 藤井 直樹 氏(石川県文教会館 館長)
◆コーディネーターのまとめ
・対話や経験を、人との関わりの中で積み上げたり、広げることによって、社会性や嘘を見抜ける力を育てるように、自分の子ども・地域の子ども達に接することが、より必要になってくる。
・本音で言えば「いつまでもあると思うな親と金」と前もって伝えていきたい。
小グループ討議からのキーワード
参加者による小グループ討議からキーワードは
・「嘘を見抜ける力を身に付ける為コミュニケーション能力を養う④」
・「対話の広がり⑥」
・「人との関わりが基本(機会を多く)③」
・「いつまであると思うな親と金⑥」
・「コミュニケーション力、情報選択力⑤」
・「異文化交流を楽しむ⑥」
・「親も地域も範を示す⑦」 一人1票で投票した人数が「数字」です。
初年度・平成30年度の提言
【18歳成人時代】を向かえる前に、次のようなことを大切にして子育てをしよう。
「自立・自律した成人」に向けて、自己肯定感を高め、独立心、自己責任能力、自己判断力を 育てるために
☆様々な人と出会う機会を持たせよう
・異年齢の他者(特に大人)と接する機会を多くすることにより、人間性・社会性
を培い、コミュニケーション能力を高める。
☆様々な活動に参加させ、社会性と自信を持たせよう
・企画→実施→評価・改善の過程を経験させ、自信と責任能力を育てる。
☆情報の真実を見抜く力をつけさせよう
・親や大人、友人と意見交換・対話する機会を持たせる。
2022年度から「18歳成人時代」になります。金沢教育振興会は4年後を見据えてシンポジウムのテーマに設定し「大人の関わり」について考える機会を設けました。子どもは大人の関わりがあってこそ習慣として身につき力を育みます。子ども達を取り巻く地域の大人達が「対話や経験を通して人との関わりを大切にすることが必要だ」と感じて頂けると幸いです。来年もシンポジウムを開催します。どうぞ、気軽にご参加下さい。
平成29年度 テーマ
価値観が多様な今だからこそ、子ども達に育っていってほしいものは
~あなたは子どもと接する時、何を大切にして行動しますか~
シンポジウムでは、いろいろな立場で子ども達と接しているパネリストから「こんな事を大切にしたい」と提案頂き、それらをもとに小グループで各々の思いを出し合ったり、参加者の意見を焦点化したりしました。
参加者から出された貴重なご意見は、本会の会員だけではなく、広く学校・家庭・地域の皆様に具体的な行動として提言し、子育て世代を応援することが本会の使命ではないかと考えます。
小グループ討議からの キーワード
1グループ 「大人の力」
子ども会のメンバーが私達の班には3人います。私達は子ども会の行事を増やしたいのですが、関わる大人の数が減り、行事を減らす傾向になり悩んでいます。世話する人も育友会から子ども会に流れてくることが多く、出る人と出ない人の温度差があり悩んでいるというのが本音です。そういうことで大人の力をキーワードにしました。
2グループ 「自ら・自分で・自分たちで」
現職時代、このことを原則にしてやってきた。80歳を超えた現在もピタリとくる。日常生活の中で興味があることを見つけると友達に聞きに出かけるという前向きな生活になる。何もすることがないという暇な子どもにも、何か視点を与え興味、疑問を持たせることがまず一歩。何十歳になってもこのキーワードで、子ども達も同じなのではという思いです
3グループ 「我慢する大切さ」
一人っ子の孫は、自分はこうしたいとよく言います。先日学校開放の際、学校で孫を見ると、ノートを見せる際前の子が見せているのに自分が早く見せたくて自分のノートを出すのです。一人っ子だから我慢できないのかと思うのですが、集団の中で我慢する必要性をわきまえないと他を大事にすることができないという思いから提示しました。
4グループ 「大事なことに時間をかける」
「触れ合う・向き合う・関わり合う
今学校、家庭、企業でも忙しいと言う言葉がついつい出てきます。何が忙しいのか、一番大事なことに時間をかける必要があるのではないかという思いでキーワードにしました。もう一つは、パソコンに向かい仕事をすることが多い中で、人と人、全てのものに向き合い触れ合う関わり合う視点が、子どもも大人も必要なのではと思い、2行にしました。
まとめキーワード ・ シンポジウムからの提言
挙げられたキーワードは全て大切なものでしたが、参加者に一押しを投票してもらった結果、「ほめて・認めて・励ます」が、今回のシンポジウム参加者からのお勧めキーワードになりました。
==シンポジウムからの提言==
子どもと接する時、
・スモールステップで子ども達の言動や成長を「ほめて・認めて・励ます」ことが大事。
・大人や親は子どもの機嫌をとるのではなく駄目な ことは駄目と指導する厳しさも大事。
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平成28年度 テーマ
「ネット社会の今だからこそ、子ども達に育っていってほしいものは」
【シンポジウムからの気づき・学び】
①人間らしく思いやる「コミュニケーション能力」を身につけていってほしい。ネット社会を力強く生き抜いていく「善悪の判断力」を持った子ども達に育てていってほしい。
②目と目を合わせながらの会話ができることは、やっぱり大切です。画面上での文字のやりとりではなく、実際に顔を向かい合って相手の表情も踏まえた上で「意思疎通」を図ることができるようになってほしい。
③情報を受ける側は「取捨選択する力」や「読解力」を育ててほしい。情報を発信する側は「モラル」を重要視し、「匿名に甘えない」心を育ててほしい。
④情報モラルとして特定するのではなく、小さい頃から「やって良いこと・悪いこと」が判断できる道徳心を育ててほしい。時代が変わっていっても、基本的な「人としての教育」は、学校でも家庭でも一番大切です。
⑤ネットトラブルの多くは、「家にいる時間」に発生します。だからこそ、家庭での見守り・日々の親との関わりが大切だと思います。家庭内でのコミュニケーション力を親子で育ててほしい。
【地域・家庭・学校への提言】
日々目まぐるしく変化・発達・拡散する情報機器の「光と陰の部分」を理解しネット社会を否定するのではなく、学校・家庭・地域が一体(同一目的)となって子ども達と接していきましょう。
☆ 子ども達には
・幼い時期から他の人との積極的な関わりを大切にしよう。
・実際の体験・経験を積み重ねよう。
☆ 子ども達と関わる大人
・お手本となる大人は、面倒くさがらず積極的に他人との関わりをもとう。 (画面上ではなく実社会で)
・情報の取捨選択能力を身につけるには、大人(特に親)が大切な指導を行い、手本を示すことが必要です。「子どもの方がよく知っている」ということを口実にしてあきらめることなく、学び続ける大人(親)でいよう。
・「夢や目標を持つ・主体性が育つ・自信をつける・勇気を持つ・人とつながる」等を育てられる場を活動・学習・生活で用意しよう。
☆ 情報機器を与えるか迷っている方へ
・与えてからの約束づくりではなく、与える前の約束づくりが大事です。
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平成27年度 テーマ 「今だからこそ、子ども達に育っていってほしいものは」
【シンポジウムからの気づき・学び】
①子ども達の育て方を見直す必要性を感じる。指導者としては、子どもの自主性を大切にする。子どもを信じ、細かいことは言わず子どもに任せ、自分達で解決する力を伸ばすことが大事だと感じる。
②以前は五感で感じる社会があった。町の臭いや音。大人達の会話。汚いもの。ネコがネズミを捕って食べる現実。大人はそんなものを消去・排除し、問題のない社会を作りすぎている。子どもが、感じる・解決する・自由な発想ができる社会が必要である。
③子育て中の親の生活は厳しく苦しいけれど、親がしていることを子ども達は当たり前と感じ、子どもが親になった時に同じ事をする。子育て+仕事+家事で忙しい母親が、子どものために「課題ノート」を作成する。まさしく、子育てしている親の姿がポイントである。
④なぜ子ども達が自分にいいところがあると思えていないのか。多分大人が一つの物差しでしか子どもを見てやっていないのではないか。いろんな活動の中で子どもの良さが見えるのに、子ども自身がそれを自分自身の良さだと思わさない関わり方を私達大人がしてしまっているのではないか。
⑤学校は、どうしても1年間の成長や育ちを考える。だけど、社会教育の中で評価を急いだら駄目だと分かった。長スパンの中で種を蒔き肥料を与える活動だけれど、大人が肥料のやり方や光のあて方を考えて、本人自身の芽生えや成長を大切にしていくことが大事である。
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【地域・家庭・学校への提言】
☆子育て中の皆様へ ・お父さん・お母さんは、子育て+仕事+家事で忙しいけれど、自分達の姿が「親の教科書」です。頑張って下さい。
☆子育てを終えた皆様へ ・自尊感情や自己肯定感を高めるため、子どもの良さを見つけ伝えよう。
☆子ども達と関わっている皆様へ ・画一的な物差しではなく、多様で長いスパンで、子どもを育てましょう。
平成26年度 テーマ 「子ども達の生きる力をより確かなものにするために」
―コミュニケーション能力を育てるための大人の関わり―
【シンポジウムからの 気づき・学び】
○ コミュニケーションは双方向 「話をする⇔話を聞く」といった双方向でコミュニケーションが成り立つ。子ども達のコミュニケーション能力を育てるには、まず大人が話を聞いてあげなければならない。また、話し上手な子どもであっても、人の話をきちんと聞くことができなければコミュニケーション能力が高いとは言えない。
○ 子ども達がコミュニケーションを必要とする環境が減少 概して、今の子ども達は時間に追われ自由に遊ぶ時間が減ってきている。また、友達と時間を共有する場所(空間)も狭められてしまっている。その結果、仲間や友人が減ってしまっているのではないか。このような環境の元ではコミュニケーション能力が育つことはあまり期待できない。もっと友達や親と時間や空間を共有する環境を作り、コミュニケーションの必要性を感じるようにする必要がある。
○ コミュニケーションは親自ら 子ども達のコミュニケーション能力を育てる土台は家庭にある。親自らが子どもの話に耳を傾け、親自らが子どもに語りかけることがコミュニケーション能力を育てる基本ではないか。また、地域においても平生から子ども達に話しかけることが少なくなっていないだろうか。声かけの第一歩は挨拶からであろう。
アイテムデータがありません。
【地域・家庭・学校への提言】
☆ 家族のコミュニケーションの場や時間を増やそう。 子どもは本来は話したがる存在ではないだろうか。コミュニケーションをとる第一歩として、子どもと向き合って話を聞くことを大事にしたい。
☆ 大人は子どもの良い手本となろう。 子ども達がきちんとした会話ができるようになるには、大人がきちんとした話し方をすることが大切である。時と場に応じた挨拶をしたり、主述のはっきりとした会話をしたりすることから心がけていきたい。
☆ 地域の子どもにも話しかけよう。 いろいろな人との関わりの中で子ども達のコミュニケーション能力が高まっていく。その関わりの第一歩は挨拶であろう。子ども達に気軽に声をかけることからコミュニケーションの輪を広げたい。
☆ SNS(ソーシャルネットワーク)はコミュニケーションのひとつの道具としてとらえよう。 コミュニケーションには一定のルールが存在し、SNSによるメールなども同じであることを保護者は教えなければならない。また、コミュニケーションのすべてをSNSに依存すると、意思が正確に伝わらない危険性があることを、学校教育や社会教育の場で具体的な事例を通して教えてほしい。
平成25年度 テーマ 『子ども達の生きる力をより確かなものにするために』 ―たくましい子どもを育てるための大人の関わり―
【シンポジウムからの 気づき・学び】
○ 「たくましさ」を一様にとらえることはできない。 子どもが育った時代や、同じ時代でも生育環境によってとらえ方は異なる。子育てに関わる大人は、社会が進んでいる方向や子どもが成長していく環境を見極める必要がある。また、子どもの特性や性格によって、今後どのようなたくましさを身に付けさせたらよいか考えなければならない。
○ 失敗を恐れるあまり、失敗を経験する場が減らされている。 現代の子どもは、ある意味では今の大人が考えているよりたくましさを持っているのではないだろうか。大人は子どもが失敗し立ち上がれなくなるのを恐れるあまり、失敗を乗り越える経験をさせていないのではないだろうか。
○ 子どもは自ら伸びる力を持っている存在である。 子どもがうまく行動できるよう道を拓いてあげることは必要だが、あまりにも子どもの意思を尊重しなかったり、子細に渡って指示したりすることが多くないだろうか。じっと見守ることは、ややもすると子育てをする大人にとって苦しく感じるかも知れないが、子どもがたくましく育つためには大人の管理や規制を過剰であってはならない。
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【地域・家庭・学校への提言】
☆ 子ども達が多様な経験ができるよう様々な機会を設けよう。 地域や家庭、学校はそれぞれの持ち場・立場で、子ども達がいろいろな経験ができるようプログラムを用意し、その中で失敗から学べる環境や場面も想定することによって、たくましさが育つ機会を設けることになる。
☆ 異質なものとふれあう機会を大切にしよう。 異年齢集団の中で、年長者・年少者それぞれが人間関係を学ぶ中でたくましさが育っていく。また、異文化とのふれあいの中で他を知り自分を知りながら成長し、グローバル社会を生きるたくましさが育つ。
☆ 自然とふれあう機会を多くしよう。 ゲームなどのバーチャルな世界の中では、本物のたくましさは育たない。自然とふれあい、自然の厳しさや有り難さ・大切さなどを体験を通して得ることにより、自然の中で生きる人間としてのたくましさが育つ。
☆ 子育てや教育の場面で、いきすぎた管理をしていないか見直そう。 大人が過剰な口出しをすることで子どもがたくましく成長する芽を摘み取ってしまったり、成長するタイミングを大人が見誤ったりすることがある。子育てや教育の不安を減らすためにありがちな過剰な管理を見直し、見守って育てるといった「大人のたくましさ」を持つことも必要ではないか。
平成24年度 テーマ 「子ども達の生きる力をより確かなものにするために」
―将来の夢や希望を抱く子どもに―
【シンポジウムからの 気づき・学び】
○子どもは「認められたい」「ほめられたい」と思っている存在である。 「自分を認めてくれている人がいる」「集団や家族の一員としての存在感がある」という自覚や自尊感情を持たせることができるよう、よさを見つけ、ほめ、それを伸ばしていきたい。
○大人は子どもが描いている目標や夢を知る必要である。 それを知らなければ、子どもに対する支援はできない。そのためにも、子どもとのコミュニケーションを大切にしなければならない。
○大人自身が目標や希望を持って生活することが大事である。 子ども達は親や教師の姿を見て成長する。大人が目標を持って頑張っている姿を見せることや、子ども達に自分自身の夢を語ることがあれば、子ども達も夢や希望を持つことの大切さを知ることになるのではないか。
○夢や希望を持って生きて行くためには、社会で生き抜く力が必要である。 そのためにも、集団生活やスポーツなどを通して、忍耐強さ、規律や規則の意味やそれを遵守する態度などを培わなければならない。
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【地域・家庭・学校への提言】
○子ども達に様々な体験をさせよう。
・一つの分野に偏らず、興味関心が広がるように
・好奇心が旺盛な子にするために○親は子どもの最大のサポーターであることを自覚しよう。
・子どもがやりたいことをみつけたら、親として最大限の支援を
・目標に向かって進み続けるための環境作りや健康管理を
・耐えることの大切さを体験させ、親もその苦難を共有するように○指導者は子ども達を多面的に評価するように心がけよう。
・能力面だけでなく、行為や心情などを含めた全体を評価の対象に
・子どものよさを見つけられる感度の良いアンテナを持って
・子どもが評価して欲しいタイミングを逃さず、時と場を捉えて○指導者は子どもが目標を持ち、達成感が味わえるよう支援しよう。
・実現可能性のある、直近の具体的な目標を持たせ、達成感を
・「できる」「かなう」という意識にさせるために、ほめて育てるように
・楽しいと思いながら取り組むようになるための工夫を
○地域は子ども達が存在感を味わうことができるようサポートをしよう。
・子どもが所属意識を持てるような地域活動プログラムを
・子ども達が安心して学び、遊べる安全な環境作りを
平成23年度 テーマ 「子ども達の生きる力をより確かなものにするために」
―地域や家庭での関わりで大切にするものは何か―
【シンポジウムからの気づき・学び】
☆子ども達に、親として地域の一員としての姿を
・学校や地域の活動に、主体的に参画している姿
・家族間のコミュニケーションを大切にし、お互いを理解しようとしている姿
・おとなとして更に学ぼうとする姿勢
・ボランティアなど地域社会に協力している姿☆子ども達が様々な活動に参加できる機会を ―子ども達は何を求めているか、子ども達に何を体験させたいかを視点に
・学校や地域、PTAが連携・協力を
・学校や団体の持ち味を生かした活動を
・子ども達がなるべく参加しやすいよう、保護者が後押しを
・子ども同士、親同士が誘い合って地域活動に参加するコミュニティ作りを☆子ども達に地域を大切に思う気持ちを
・地域活動に親子で参加することの推進
・地域が一体となって実施するイベントの企画・実施
・地域の良さや伝統を知り、受け継ぐ活動の開発、継承
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【地域・家庭・学校への提言】
○子ども達一人一人が目標を持ち、強い心を持ってたくましく生きる意欲を育むようにしよう。
○自分の良さを知り、自分を大切にする気持ちが育つようにしよう。
○学校やPTA、各種団体が呼びかけ合い、連携し合って、地域ぐるみで取り組む活動を大切にし、子ども達が地域の良さを感じるようにしよう。
○大人は地域の子どもに関心を持ち、積極的に関わる姿勢を持とう。
○子ども達のお手本となるように、熱意を持って学校や地域の活動に参加をしよう。○決して無理をせず、長続きする地域の活動をしよう。
○地域のみんなが地域社会に溶け込み、大人の仲間意識を広げ、強めよう。
○子ども達と共感し合える話題などで、大人と子どもが会話する時間を多く持ち、大人の体験談から学ぶ機会などを作ろう。